FAKE? X MA$A$HI
FORMULA
『ヴァルハラ』の衝撃から9年。エレクトロニカからハードコアまでを血肉としたアングラヒップホップの異形、8th wonderの2/3、Fake?とMA$A$HIがタッグを組んで、再び新しいページを繰り始める。
Fake?の焦燥は、311を経て、また別の形を取った。熱を匿いながら醒めているそのライミングを、MA$A$HIの冷たいビートがコーティングする。本作のリリックの多くは2010~2012年の間に書かれたものだ。寓話形式のリリックを追求するFake?は、従来のヒップホップの一人称の私語りではなく、物語世界の登場人物の視点から綴るリリックも多い。それは311の影響を受けて書かれた、新しい命を迎える男の心境を描いた「Onomatopeace」、ネグレクトのシングルマザーがヨガに目覚め平穏な生活を取り戻す「Yoganic」、アンドロイドとエイリアンとアナログな人間が、汚染された地球を離れ他の星を探しに行く「A+A+A」などにも顕著だ。その他にもエモーショナルなビートにSeiをフィーチャリングし、一方でラッパー側からの苦しみを、他方で声を失った女性ブロガーの妬みを二つの視点から描いた「Envy」や、Meiso率いるMedetativeクルーのMCたちを総動員したソウルフルなビートのポッセカット「Experi-Mental」なども聴きどころ。一方のMA$A$HIのビートは、ピアノネタとブレイクビーツによるサンプリングの美学を追求した前半から、電子音を多用したスペイシーな後半へ向かって表情を変えながら遷移する。Fake?のラップ曲とビートテープのようなMA$A$HIのインストビートが交互に現れる構成の本作は、両者のトーンが相まって、全編通して渋く抑えたサウンドに貫かれている。
1. イン-吐露-ダクション[inst.]
2. Final Colorz feat. Authentic
3. 夜中にフロアーでぼくはきみに話しかけたかった[inst.]
4. Envy [Be End] feat. Sei
5. 緑の中の青[inst.]
6. Free Style
7. 懐古厨[inst.]
8. Experi-Mental feat. Meiso, Kuroyagi, 2RABU, キダハシヤ, Candle & MA$A$HI
9. 深夜48時間目[inst.]
10. Onomatopeace
11. ビトウス・ボルヘス・睦郎[inst.]
12. Slow Weather feat. KSK & MA$A$HI
13. 転ばぬ先の1拍目[inst.]
14. Yoganic
15. 幻遠視[inst.]
16. A+A+A [Analog x Android x Alien]
17. アンタイトルド[inst.]
[release]2018/08/22
[price]¥2,000+tax
[format]CD
[cat]MEDI-1006
[genre]邦楽/J-HIPHOP